【ジョハリの窓】コミュニケーションモデルのマーケティング活用

マーケティングの意義については立場によって様々な捉え方ができますが、昨今の多くは競合との争いを避けるために「市場を創造すること」であると説かれるケースが散見されます。

市場創造に適したビジネスフレームワークとしては、ファイブフォース分析 (力関係の少ない市場を定義する)やブルーオーシャン戦略(市場を創り育てる)などがありますが、ここでは心理学におけるコミュニケーションモデルである「ジョハリの窓」を取り上げてみます。

ジョハリの窓とは

1955年、サンフランシスコ州立大学の心理学者ジョセフ・ルフトとハリ・インガムによって提案されたされたモデルで、「対人関係における気づきのグラフモデル」を言います。

自分」と「他人」という対人関係において、それぞれが「知る部分」と「知らない部分」を持つことによって四象限が生まれます。

ジョハリの窓
ジョハリの窓
  • 開放の窓 ( Open self ) – 自分も他人も分かっている
  • 秘密の窓 ( hidden self ) – 自分はわかっているが他人は気づいていない
  • 盲点の窓 ( blind self ) – 他人は分かっているが、自分は気づいていない
  • 未知の窓 ( unknown self ) – 自分も他人も気づいていない

この四象限は均等に割り当てられるものではなく、格子は関係性等によって移動するものとします。キャリア開発においては、自己開示によって他人に対して理解をしてもらい(格子が右側に移動する)、また他人からのフィードバックを得る事によって自らへの気づきを得る事で(格子が下側に移動する)、自己成長に繋げられるとしています。

これを、マーケティングにおける市場創造に置き換えてみましょう。この場合、「自分」とは「対象となる事業」、「他人」とは「ターゲット」を指します。

マーケティングにおける「ジョハリの窓」

マーケティングにおけるジョハリの窓
マーケティングにおけるジョハリの窓
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開放の窓

自分も他人も分かっている「開放の窓」は、事業上で強みとしている価値をターゲットも理解している状態、いわば既存のロイヤルティを築いた関係性と言えます。

このエリアが結果的にできるだけ大きくできるようにすることがゴールとなります。

秘密の窓

事業上の強みをターゲットが理解していない状態が「秘密の窓」です。もしそれがプロモーション不足なのであれば、顧客に伝わる形へのメッセージング(ユーザー体験)の見直しが必要となります。

盲点の窓

ターゲットは気づいているが、事業上気づいていない「盲点の窓」は、顧客の声が十分に把握できていない状態で起こります。またこのエリアは「自社の弱みに対する指摘」の場合もあります。顧客の声を聞くことで、気づきを得ながら対処する必要があります。

未知の窓

事業上においてもターゲットも気づいていない「未知の窓」は、まさに新たな市場となりうる力を持つエリアです。これからの新たな市場は、このエリアにある潜在的なニーズやリソースを活かすことから始まります。

その市場を発見することで秘密の窓となり、ユーザー体験を通じて開放の窓へと導くことで、市場の創造へと繋がります。今後、もっともマーケティングの必要性が高いのが「未知の窓」となります。


マーケティングは、市場を創造するといった側面だけで行われるものでもありません。しかしながら、長期的な発展を考えた場合、やはり独自の市場を持つことは非常に重要なことです。

今、自身が対象とする事業の中で、ジョハリの窓を通じて顧客との関係性を可視化し改善するとともに、未知の窓を探り続ける活動も行っていきましょう。

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