Google アナリティクスに関する講座や勉強会を行う際、必ず何らかのアクセスデータは必要となってきます。そしてそのデータ量は、できるだけ多いことが望まれます。
しかしながら、アクセスデータは企業にとって機密情報であることが多く、そう簡単には開示できません。そんな時に便利なのが「Google Merchandise store」のデモデータです。
Google Merchandise storeとは
Google Merchandise store は、「Google ブランドの商品を販売する e コマースサイト」です。(アナリティクス ヘルプより)
男性、女性、子ども用のアパレルや各種小物を取り揃えたショップであり、IT企業らしからぬ可愛らしいデザインのアイテムが多く取り揃えられています。
このサイトのアクセスデータは、Google アナリティクスのデモアカウントとして誰でもアクセスできるよう(加工され)提供されています。そしてGAプロパティは、ユニバーサルアナリティクスとGA4の両方が提供されています。
このデータを使うことで、Gooogle アナリティクスに関する講座もばっちり運営することができます。(もし何らかの権利を侵しているとしたら、その旨ご指摘いただけますと幸いです。)
現在、職業訓練校などで未経験者向けにGA講座を行う時によく活用しているのですが、毎回思うのが「誰が使うの?このサイト。」ということです。ということで、ここではそれを想定するための解析をおこなってみましょう。単なる思いつきでやりますので、信憑性は問わないでください。
また今回、プロパティにはユニバーサルアナリティクスのMaster Viewを使用します。慣れているから、というくらいの理由です。
1. サイトを閲覧して仮説を立てる
アクセス解析をおこなう際、いきなりデータを見てはいけません。と、様々な資格試験や講座で習いますよね。何らかの仮説をもってデータと向き合ったほうが、検証と深堀りがしやすくなるからです。
以下、まずはサイトを閲覧してみて感じた仮説を書いておきます。
- キャップやアウター、インナー、ロンパースなど、本当に品揃えが豊富で、対象者は広範囲に渡ると思われる。
- しかし一見可愛いデザインでも、全ての商品にGoogleのロゴが入っているのは、購買層を狭める要因になるのではないか。adidas のように可愛くデザインしたところで、Google は Google である。
- 結果、このデザインでも着たい or 着せようと思うのは、40代とかのコアな男性エンジニア層ではないか。
- ラインナップが幅広いのも、40代男性エンジニアが家族に着せようとするからだ。
- 彼らは「Google グッズ」などのワードでGoogle検索し、その商品に辿りついていると想定する。
※特に悪意はありません。
2. 性別や年代の内訳を見てみる
それではデータを見てみましょう。直近3ヶ月くらいあればよいでしょうか。2021年9月〜11月のデータで見てみます。
(一応、実数の部分はマスキングしています。)
いる…女性が4割もいますね…。人口比率と同じくらいでしょうか。普通に女性が訪れていますね。え、では年代で見るとどうでしょうか。
3. 流入経路を見てみる
では、女性の方たちはどんな流入経路からどんなコンテンツを見に訪れているのでしょうか。まずはチャネルから見てみましょう。
チャネルに対し、セカンダリディメンションで「性別」をかけ合わせてみます。
男女ともにDirectが最も多いです。というよりは、Organic Searchがありません。もともとフィルタで消されているのでしょう。それだと判断しづらいので、ランディングページで見たほうが良さそうです。
男女ともにTOPページを入り口としているケースが多いのです。しかしここで気になったのが、男性がメンズアパレルにランディングするのは分かるとして、女性もメンズアパレルにランディングしている…。しかもTOPの次に多い…。
これはもしかすると、「男性へのプレゼントを探している女性」というのもあるのではないか?という新たな仮説が生まれます。生まれました。そう、生まれたのです。
「女性に服を買ってもらえるGoogle好きってどんな男性だよ…」という複雑な感情と疑問と共に…。
結論:仮説を持ってデータを見ることの事例で使える
多少乱暴なまとめにはなりますが、Gogle Merchandise store は、このような感じで仮説を持ってデータと向き合うこと、かつ「ユーザーインサイトを拾い上げる」ことの事例としても十分に機能してくれます。
アナリティクス ヘルプを見れば、このデモアカウントの連携方法は記載されていますので、まだ体験されていない方は、このデータを連携してみてはいかがでしょうか?
これからGA4のデータも充実してくることかと思います。その解析の練習の場としても良いでしょう。解析スキルのレイヤーに限らず、活用して欲しいアカウントの紹介でした。