アクセス解析で用いられるツールで最も利用されているのは「Google アナリティクス」で間違いないかと思います。しかしながら、下記のような条件下において、それ以外のアクセス解析ツールを検討することもあるでしょう。
- Googleのサービス利用が何らかの理由で禁止されている
- ウェブビーコン方式ではなく、サーバーログ方式のアクセス解析を検討している
- 解析データを自身が管理するサーバーに保存する必要がある
このようなケースでぜひ候補として抑えておきたいのが、「Matomo」になります。
Matomoとは
「Matomo」は、PHP/MySQLサーバー上で動作するウェブ解析ツールです。オープンソース(GPL)ライセンスで提供されているため、無償で利用する事ができます。
自身のサーバーにインストールするため、解析に必要なデータは全て自身で管理する事ができます。また、ウェブビーコン方式だけでなく、サーバーログ方式による解析も可能なハイブリッドな解析ツールとなっています。
このMatomoを利用する際、エンジニアスキルをお持ちの方であれば、特に高度な技術を必要とせずに導入できますが、マーケターでも基礎エンジニアスキルが無い場合、サーバー設定が一つのハードルになります。
これを解消する手段の一つに、「ConoHa VPSの利用」があります。
ConoHa VPSとは
「ConoHa VPS」は、GMOインターネット株式会社が提供する、レンタルサーバーサービスです。最新CPUや超高速SSDを採用することで性能面で優れるだけでなく、サーバー構築時に必要なアプリケーションをボタン一つで選択できる「アプリケーション」イメージを数多く提供しています。
Matomoもアプリケーションイメージとして提供されているため、サーバーの知識を必要とせずに、Matomoの機能を試すことが可能です。
※ちなみにMatomoは以前、「Piwik」という名称で開発されていました。その当時からConoHaでは、イメージが提供されています。
Matomoをインストールする
それでは、早速Matomoの環境を構築してみましょう。
ConoHa VPSでサーバーを追加する
ConoHa VPSにアカウントをお持ちでない方は、まずは新規登録から行いましょう。登録後、管理画面から「サーバー追加」を選択します。
料金(サーバースペック)プランと併せて、様々なOSやアプリケーションを選択することで、サーバー構築の手間が図れます。ここでは、「アプリケーション」から「Matomo」を選択します。
サーバー管理者であるroot権限のパスワードなどの必要事項を入力の上、サーバーを追加します。構築に少し時間がかかりますが、完了すればサーバーへのアクセスが可能です。
ターミナルやコマンドプロンプトを通じて、一度root権限でサーバーにアクセスしてみます。
ssh root@[サーバーのIPアドレス]
サーバーにログインすると、下記の情報を表示してくれます。
- URL : MatomoにアクセスするためのURL(デフォルトでは、http://[IPアドレス]/matomo)
- MySQL Matomo user name : データベースのユーザー名
- MySQL Matomo user password : データベースのパスワード
- MySQL Matomo user database_name : データベース名
※データベースのサーバー名は、「localhost」です。
これらの情報を用いて、Matomoのインストールを行います。
Matomoのインストール設定
上記のURLにブラウザからアクセスします。
すると、すぐにインストールができる状態になっています。画面の指示通りに進めましょう。データベースの情報を求められた場合は、先程の情報を入力すればアクセスできます。
※実運用時の注意点
設定中に警告としても表示されますが、この設定ではSSLによる暗号化が行われていません。
ドメイン設定と合わせて、暗号化を行うようにしましょう。
また、Matomoは常にバージョンアップされています。インストール時やMatomoの運用画面上にアップデートの案内が出た場合は、最新版にアップデートして利用しましょう。
Matomoを利用する
Matomoを使ってみる
上記のような管理画面まで進めば、利用は可能です。ウェブビーコン方式で利用する場合は、ビーコンタグをGoogle アナリティクスと同じように導入して解析データを収集します。
サーバーログ方式で利用する場合は、サーバーログをインポートして解析を行います。詳しくは書きをご参照ください。
https://matomo.jp/%E6%A9%9F%E8%83%BD%E8%AA%AC%E6%98%8E/4293
これからのアクセス解析について
Google アナリティクスなどのウェブビーコン方式のアクセス解析ツールは、「Cookie」にユーザーを特定する情報を保持することで、リピートやアトリビューションの状況が解析可能となります。
しかしながら「ITP (Intelligent Tracking Prevention)」と呼ばれる、Cookieの発行元ベースでの保存期間の制限が強化される施策により、Cookieベースでの解析は、今後より困難となっていくことでしょう。
Googleは、Googleシグナルの利用や機械学習によるユーザー行動の推測にも力を入れていますが、利用者側としては提供者の状況に依存しない解析環境を持つことも必要かと思われます。
その準備として、ConoHa VPSのイメージを利用することは、大いに有意義なことだと思われます。ぜひ年末年始などを利用して、体験してみてはいかがでしょうか?