日本では古くから「広報」という名称が一般的に利用されていますが、海外や外資系企業においては、「PR Manager」という名称で呼ばれます。
PRマネージャーの注目度
「pr manager」での検索数は2004年から一定規模を保って推移しています。この数年で伸びている「digital marketer」と同等の規模の検索数もあり、一定の市場があると考えて良いでしょう。
ちなみに日本においては広報と担当が重複することもある「brand manager」ですが、検索数で見ると「pr manager」の倍以上の検索数を誇るようです。
本来、PRマネージャーとブランドマネージャーに必要とされるスキルは異なってくるため、もしこの分野でのキャリア形成を考えている方は、市場規模も意識してみると良いかもしれません。
PRマネージャーの役割
PRとは「Public Relations」の略であり、国際PR協会において以下のように定義されています。
(以下、和訳)
パブリックリレーションズは、信頼のおける、倫理的なコミュニケーショ ン手法を通し、組織と組織をとりまくパブリックとの間に、関係と利益を築くため、意思決定の管理を実践することである。
PRマネージャーは、各種メディアや世間一般に対して、対象となる事業や商材に関連する情報を波及させ、時には意見交換の窓口となります。コミュニケーションの割合はメディアが多くなりますが、ステークホルダーと呼ばれる関係者全般に対して、信頼や協力を勝ち取るための活動が必要です。
プレスリリースの効果的な配信と改善やメディアとのやり取りと併せて、話題性を用いた市場認知向上が目的としたプレス向けイベント企画・運営にも携わるケースがあります。この場合、イベントオーガナイザー的スキルも求められることになるでしょう。転職活動の際は、どのようなメディアやステークホルダーに対し、どんな業務を遂行しているかを確認するようにしましょう。
求められるスキル
情報過多な現代、いかに関係者に商材への関心を引き寄せるかは、PR マネージャーのコミュニケーション能力が重要です。分解すると、以下のようになります。
- 市場におけるポジションやブランドを明文化する言語力
- 関係者との折衝を円滑にすすめるコミュニケーション能力
- 端的に魅力を伝えられるプレゼンテーション能力
- 関連するメディアを統合して露出を図れる能力
PRマネージャーの年収
Indeedによると、日本における「広報」の平均年収は、「6,060,384円」となっております。
https://jp.indeed.com/career/%E5%BA%83%E5%A0%B1/salaries?salaryType=YEARLY&from=careers_serp
平均値で見ると他の職種よりも高い値にも見えますが、日本で給与が最も高い地域との値とそれほど乖離がないため、ばらつきが少なく平均値に集中した傾向にあるのではないかと思われます。
高い年収を求める場合は選択肢が限られるとも言えそうですが、実務経験をしっかり積めば、安定した収入で活動が望める職種と言えそうです。
PRマネージャーが抑えておきたいトレンド用語
デジタルの進化はマーケティングにも多くの変化をもたらしました。PRにおいてもその動向は抑えておきましょう。
デジタルPR
人的つながりが重要視されるPR活動は、コミュニケーションのデジタル化によって、その手法や効果検証のあり方にも変化が見られます。
これまでのようなイベントや対面による交流がなくなることはないと思われますが、情報の流通に関してはデジタルなプラットフォームへと移行しました。企業とメディアをつなぐプレスリリースの配信と閲覧はデジタルなアーンドメディアで行われ、より理解や関心を深めるための動画コンテンツの活用は、マスメディアに依存することなく、オウンドメディアやソーシャルメディアでも自身のコントロール下でおこなうことができます。
そして効果検証においても、これまでは「広告換算値」と呼ばれる広告費との比較が一般的でありながら、実効果については懐疑的に捉えられることもありました。しかし現在では、各コンテンツの視聴数やソーシャルメディアでの拡散数、それらを通じたコンタクト数など、効果検証もより行動改善につなげやすいものとなっています。
このような状況を踏まえて、ユーザーの心理と関係性をしっかりと把握しながらPR戦略を構築する必要があります。
DECAX
以前であればコンテンツマーケティングはSEO施策のひとつと考えられていました。しかし現在、ソーシャルメディアなどの他メディアも含む関係構築施策と変化しています。それをフレームワーク化したものが「DECAX」です。
DECAXは、発見(Discovery)、関係構築(Engage)、確認(Check)、行動(Action)、体験/共有(eXperience)の頭文字をとった、コンテンツマーケティングに対応した購買行動モデルです。
発見は検索エンジンで表示されたコンテンツだけでなく、ソーシャルメディアで共有/拡散されたコンテンツ も該当します。Z世代における検索メディアがソーシャルメディアに変化していることが、それを裏付けています。
発見されたコンテンツを通じて関係が構築され、また購買前の確認行動では、商材のスペックだけでなく企業価値やブランドイメージも考慮されます。そのため、PRマネージャーがもつコンテンツ力と関係構築力が最も必要とされ、逆に言えば発揮されるフレームワークと言えるでしょう。
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