近年、インターネット広告は静的な広告枠への配信ではなく、「運用型広告」が主流となっています。KPIやコンバージョンといった定量的な目標の達成を目指し、リアルタイムに入札額やクリエイティブ、ター ゲット等を改善しながら運用をおこなうのが、広告運用管理者の役割です。
この運用型広告の流れは TVCM などにも見られるようになってきました。そして適用範囲が広まるに連れ、必要となるスキルやキャリアの方向性も多様化を極めています。
広告運用の注目度と傾向
運用型広告の拡大は世界的に起こっているムーブメントですが、まずは日本国内の検索傾向を見てみましょう。
※Google広告は2018年7月にGoogle Adwordsからの名称変更があったため、ボリューム推定に考慮が必要です。
「広告運用」という検索ワードは、2016年ごろより検索ボリュームが 増加傾向にあります。その以前から「Google 広告」や「Facebook 広告」といった媒体名での検索が多い傾向にありましたが、「Instagram 広告」や「Tiktok 広告」などの運用型広告媒体が検索され始めるのと同様のペースで増加の傾向を見せています。
以前であれば、リスティング広告やアドネットワークなど限られた媒体での運用であったため、媒体での検索傾向が高く見られていましたが、媒体の種類が増えるに連れ、それらを統合して管理できるスキルが必要になってきているのではないかと推測されます。
広告運用管理者の役割とスキル
アドテクノロジーと呼ばれる仕組みの中で、目標の達成と費用対効果の最大化を図るのが広告運用者の役割になります。そのためには、媒体の種類や入札に関する知識だけでなく、下記のような知見が必要となります。
- 担当する市場や事業を深く理解し、ユーザーニーズを明文化できる
- 競合他社との比較分析により、ターゲットと対象事業との訴求点を明確にできる
- 訴求点を広告クリエイティブへ落とし込むことができる
- 広告効果測定に関する各指標の意義を理解し、結果から改善策を立案できる
- 広告出稿の際に関連する法規を熟知している。
昨今、マス広告の評価であっても、より指標を意識したものへと変化しています。その傾向は今後ますます強まっていくことを考えると、成果の最適化に向けて広告運用者が活躍できる場は、拡大傾向にあることは間違いないでしょう。
広告運用管理者の年収
Indeedによると、日本における「広告運用」の平均年収は、500万円強となっています。(2022年9月現在)
給与が最も高い地域や企業でも平均値とさほど乖離がないため、平均値に近い年収帯であると考えられます。
より高い給与を望む場合は、広告運用のスキルと別のスキルを活かしながら、ポジションを探す必要があるでしょう。
広告運用管理者のスキルマップ
運用型広告の歴史は、マスメディアやWeb技術のなかでもかなり新しいものであり、キャリアパスを広げた例は、未だ多いとはいい難い状況です。しかし、マーケティング・スキルマップを俯瞰して見ると、親和性の高い隣接スキルとの組み合わせで、自分らしいスキルデザインが可能です。
広告運用は、スキルマップ上では「M-4 メディアプランニング」に含みます。ベースとなる前述のスキルを習得しながら、SNSスペシャリストとしてでの顧客獲得に向けて「M-6 SNS運用・管理」を組み合わせる方も少なくないでしょう。また他メディアとの連携によってエコシステムを構築する「B-3 ビジネスアライアンス」に強くなることも1つです。この場合、アフィリエイトマネージャーとのパートナーシップ構築も重要となります。
Web管理者として活躍することを望む場合であれば、各種テクノロジーやWeb運用に関するトレンドと併せて、事業を展開する市場に対する知見が最重要となるでしょう。その場合、スペシャリストとしてでなくジェネラリストとして組織管理者としてのキャリアパスも望めます。
広告運用というスキルからキャリアを考えるよりも、自身が望むキャリアを思い描いてから、今のスキルの活かし方やキャリアの拡げ方を考えるとデザインしやすいのではないかと思います。
マーケティング関連職一覧
Webplaでは、外資系転職サービスを参考に、マーケティングに関連する他の職種の情報もまとめております。あなたがキャリアを考える手助けになれば幸いです。
関連書籍
マーケティングとキャリアデザイン マーケターの価値観とスキルを可視化する
2022/1/26
寺岡 幸二 (著)